米国本土ニュース

全米規模のホームエクイティーの増加傾向は今後も続く

不動産の調査会社大手のコアロジック社は、2018年第1四半期の「ホームエクイティーレポート」で、モーゲージ、いわゆる住宅ローンを持っているホームオーナーは、昨年からの1年間でエクイティー (含み益) が13.3%も増加したと発表しました。ホームオーナーは平均で、昨年の第1四半期から2018年の同時期までに16,300ドルもの含み益を蓄積しています。これは、過去4年間で最も成長率の高い1年でした。

「ここ最近、住宅価格の上昇が顕著に見られるようになり、そのためホームエクイティーが築かれ、多くの家庭で含み益がマイナスからプラスに転じている」とコアロジック社のエコノミスト、フランク・ノーサフト氏は述べています。

米国本土の西部諸州は最も大きなエクイティーの利益を得ており、カリフォルニア州のホームオーナーは平均で51,000ドル、ワシントン州は同様に44,000ドルの含み益を出しています。

前述のエコノミストは、「ホームエクイティーは今後も全米の至る所で増えてくる」として、「特に太平洋側の西部諸州は、住宅価格の長期間の上昇がエクイティーの蓄積を呼んでおり、今後もこの地域では、強い経済成長と消費の需要増加により、エクイティーの上昇傾向は続くと思われる」と結んでいます。

<Source: CoreLogic>

海外からの投資家は変わっても、米国への住宅不動産 投資は年々増加

ここ数年、海外からの住宅不動産投資は、中国からの投資が金額的に一番大きいことが知られています。全米リアルター協会 (NAR) によると、その総額は、2016年4月から2017年3月までの1年間で317億ドルとなっています。しかし、2017年8月から、中国政府は個人や法人の海外への資金の持ち出しにさらなる制限を設け始めており、米国内のマーケットによっては、その影響をもろに受けている地域も出てきています。NARの統計では、香港、台湾などからの投資も、統計上は中国となっています。

米国への中国からの投資は減少傾向にありますが、そのギャップを埋めているのが新興国です。台湾、ベトナムやタイなどの東南アジア諸国、クウェート、アラブ首長国連邦などの中近東、トルコや旧ソビエト連邦などで、最近では中央アジアにあるジョージアなどがそうです。

これは米国の不動産市場が、世界で最も安定的で安全な、開かれているマーケットであることを如実に示しています。2017年の海外からの住宅不動産への投資は、全米の既存住宅市場の4.5%(米国に居住する永住権保持者を含めると約10%)を占めています。経済が安定しているだけでなく、政治的にも安心、マーケットは透明性があり、人口も毎年増加傾向にあるアメリカ。1980年代には日本からの不動産投資が最も多く、現在は中国と、トップランナーが入れ替わっても次から次へとその穴を埋めるが如く、世界中の国々が投資をしています。ちなみに、2017年の日本から米国への投資額は、全体の2%を占めるに至っています。

米国内の主要都市を見てみると、ロサンゼルスでは、ビバリーヒルズで開発されている59ユニットのフォーシーズンズ・プライベートレジデンス (Four Seasons Private Residence) プロジェクトの約70%が海外からの投資で占められており、特に、シンガポールを中心とした東南アジア諸国の比率が増えています。

今年に入って、ニューヨークでは、ロサンゼルスと同様にアジア系のバイヤーが例年よりも多く見られます。特に、マンハッタンのハイエンドの物件内覧では30〜35%が、購入に際しては全体の10〜15%がアジア系です。7〜8年前に、主にタウンハウスを購入していたロシアや東ヨーロッパ諸国のバイヤーが今は見られず、代わりに台湾や韓国からのバイヤーが見られます。

米国本土の南東部に位置するマイアミでは、中国を始めとするアジアのバイヤーの数はそれほどではありません。その大きな理由としては、中国やアジアからの直行便がないためだと地元では推測しています。マイアミは地政学上、以前からラテンアメリカやカリビアン諸国のバイヤーの影響を強く受けています。

ロサンゼルスにおける中国人バイヤーの影響力の低下が著しいだけでなく、マイアミでも南米のベネズエラやアルゼンチンからのバイヤーが、自国の経済の低迷などで資金の持ち出しが容易にできなくなり、姿を消しています。

最近の傾向としては、マイアミではコロンビア、ペルー、メキシコやチリからの投資が増えており、中南米諸国からのバイヤーが、新規のプロジェクトなどでも半分近くを購入するなど、その存在感を示しています。さらに、ヨーロッパ諸国やカナダなども新規のビーチプロジェクトへ多くの投資をしており、これらはセキュリティー(安全性)というよりも、自分たちのライフスタイルに合わせた物件購入といえます。

最近の海外からのバイヤーの動きも、一昔前から比べると変化しています。その投資先は全米に広がっているだけでなく、地域内においても、新規プロジェクトだけでなくダウンタウンや郊外などへと、多岐にわたっています。

特に、ラグジュアリー・マーケットにおける海外からの投資は、年々その比重を増しており、地政学的な面での政治の不安定さや安全面から、子供に米国での高等教育を受けさせる比率も高まっているなど、今後も米国への住宅不動産投資は増え続けていくでしょう。

<Source: MANSION GLOBAL, Realtor.Mag>

米国のファーストタイムバイヤーの現状

アメリカで一口にファーストタイムバイヤー (first-time home buyers) といっても、それぞれが異なったバックグラウンドから来ています。しかし、どのような物件を購入するのか、どれだけの資金を注ぎ込めるのかなど、彼らの資金力など共通する部分はあります。全米リアルター協会(NAR)が発表した「2017年ホームバイヤー&セラーのプロフィール (2017 Profile of Home Buyers and Sellers)」から見てみましょう。

アメリカのファーストタイムバイヤーは、マイホーム購入のためにさまざまな障害を乗り越えなければなりません。それは学生ローンの負債 (student loan debt) から物件購入の頭金 (down payment) まで、すべての範囲にまたがっています。しかしレポートからは、住宅購入に必要な基本的知識の欠如が見られました。例えば、アンケート調査回答者の80%が「住宅購入には最低でも10%の頭金を用意しなければならない」と答えていることなどです。実際には、一時取得者層用の住宅ローンプログラムでも頭金が5%、あるいはそれ以下のプログラムが存在することも知らないのです。

また、全米で問題になっている学生ローンの負債ですが、アンケート調査に回答したミレニアル世代の負債の中間値は41,200ドルと、彼らの年収の中間値である38,800ドルを超えています。ローンの支払いが残っていたために、マイホームの購入を7年遅らせなければならなかったのです。ローンの支払いを遅滞なく定期的にできていたのは55%でした。

マイホームの購入はすべてがチャレンジというわけではなく、リセッション後の住宅ローン審査の厳格化も緩和されてきており、プログラムのひとつは、連邦住宅局 (FHA: Federal Housing Administration) のローンで、これは一般の金融機関からのローンよりも低い頭金で済むだけでなく、低金利であることが魅力で、ファーストタイムバイヤーの34%が活用しています。

ファーストタイムバイヤーの実態

  • 年齢は32歳(今までの最高齢)
  • 年収が75,000ドル
  • 190,000ドルの家を購入
  • 頭金は5%
  • 典型的な学生ローンの負債は29,000ドル
  • 郊外に戸建てを購入

<Source: REALTOR.com>

ホームオーナーの資産は増加傾向

アメリカの不動産調査会社大手のコアロジック社(CoreLogic)が最近発表した「ホームエクイティーレポート (Home Equity Report)」によると、住宅ローン (mortgage) を持つホームオーナーの2017年のエクイティー (equity:含み資産) は前年対比で12.2%増え、総額で9,080億ドルに達したと報告しています。

とりわけ、2016年の第4四半期との比較では、2017年の同時期に15,000ドルもホームエクイティーが増加しており、これは過去4年間で最も増加しています。アメリカの中でも西部に位置する諸州が、その恩恵を受けているとのことです。

「住宅価格の上昇が、ホームエクイティーを伸ばしている大きな要因である」と、コアロジック社のチーフエコノミストのフランク・ノーザフト(Frank Nothaft)氏は述べており、「このホームエクイティーの増加が消費者に他への投資を促しており、2017年のホームエクイティーの増加は50億ドル以上で、これが今後2〜3年の米国での消費へと繋がっていく」と続けています。

一方、アメリカのネガティブ・エクイティー (negative equity) の数は減少しています。アメリカで住宅ローンを持つホームオーナーがマイナス資産になっている数は250万世帯も減少しており、住宅ローンを持つ世帯の4.9%となっています。

「このエクイティーの増加は、アメリカでも地域差が大きく、東海岸や西海岸に位置する高価格帯の場所では、高いエクイティーの増加を示している。カリフォルニア州やシアトルが位置するワシントン州などでは、平均的に4万ドルのエクイティーが増加した。カリフォルニアでは販売価格自体が高額であること、ワシントン州では高成長のために価格が跳ね上がりエクイティーの増加へと繋がっている。しかし、ニューオリンズのあるルイジアナ州の平均的な家は、住宅が低価格帯であるだけでなく、その成長も中庸であるために、エクイティーの増加にはそれほど現れていない」と、コアロジック社のCEO兼社長であるフランク・マーテル (Frank Martell)氏は語っています。

<Source: REALTOR.Magazine>

学生ローンの返済がミレニアル世代のマイホーム購入を 7年遅らせている

マイホームを購入するのに最も適している世代であるにも関わらず、ミレニアル世代 (Millennial Generation:1980年代から2000年前後に生まれた世代)のほとんどが学生ローンの返済をしているためにマイホームを購入できず、ローンのために7年間も購入を据え置きしていることが判明しました。

これは、全米リアルター協会(NAR:National Association of Realtors)と非営利団体である米国学生援助協会 (ASA:American Student Assistance) による、ミレニアル世代の学生ローン負債 (Student Loan Debt) に関する共同調査で分かったことです。さらに調査で判明したことは、学生ローンの負債が、ミレニアル世代をリタイアメント、キャリア、継続教育、結婚や子供を持つことなど、自分の将来や金銭的な決定を下すことを躊躇させている要因だと分かりました。

NARとASAによる共同調査では、ミレニアル世代の回答者の20%はマイホームを所有しており、彼らの典型的なローン負債額は41,200ドルであり、彼らの年収38,800ドルを上回っています。回答者の79%は4年間の大学教育を受けるために学生ローンを組み、51%は今でもローン残高が40,000ドルを超えています。

マイホームを所有していない80%のミレニアル世代のうちの83%は、「学生ローンの負債がマイホームの購入を遅らせている」と思っています。学生ローンの負債の支払いのためにマイホームの購入が遅れる中間値は7年と出ており、マイホームを所有していない世代全体の84%は、「最低でも3年は遅れる」と答えています。

「ミレニアル世代の多くが学士を取得するために何万ドルも借りなければならなかった事実は、この世代のマイホームの購入に金銭的かつ精神的な影響を与えており、マイホームの選択肢や人生における大きな決定に対してまで影響を及ぼしている」とNARのチーフエコノミスト、Dr. ローレンス・ユン氏は述べ、「一時取得者層への既存住宅の販売はここ数年予想を大きく下回っており、この調査結果のように学生ローンの負債がその最たるものである。年配のミレニアル世代の多くや年収の高いグループでも、負債のために十分なダウンペイメント (Down Payment:頭金) を用意できない、金銭的に購入する余裕が持てないなどで購入が遅れた」と続けています。

ユン氏は、「住宅市場のサイクルは、1.4兆ドルにも及ぶ学生ローンの負債を米国の家庭が抱えていることに影響を受けている。それだけでなく、一時取得者層のマーケットの需要が弱いこと、ミレニアル世代でマイホームを所有している家庭の1/4はローンの負債があるために家を売却して買い替えることができない、あるいは買い替えやアップグレードをする頭金がつくれない、負債が将来の住宅ローン(Mortgage:モーゲージ)を判断する彼らのクレジットスコア(個人の信用偏差値)に影響を与えている」としています。

またユン氏は、「ミレニアル世代のホームオーナーのうち、学生ローンの負債で自宅の買い替えができない世帯はそこに住み着くことになり、米国で通常行われている買い替えのサイクルを遅らせるだけでなく、住宅の供給にも支障をきたし、ひいてはマイホームを購入しようとする一時取得者層にも影響を及ぼしている」と述べています。

この調査では、学生ローンの負債がミレニアル世代のマイホームの購入を遅らせているだけでなく、彼らの人生の選択肢や生活に関わる決定まで遅らせていること——すなわち経済や彼らの幸福感に影響を与えていることが判明しています。回答者の86%は、「自分のキャリアを維持するためにアルバイトをしたり、好きではない仕事を続けたり、あるいは専門外の仕事に就く」などの犠牲を払っています。さらに、半分以上が学位などの教育や結婚を遅らせており、41%は「結婚したいが、負債のために躊躇している」と答えています。

ユン氏はさらに深刻な点として、「この世代は学生ローンの支払いのために老後の貯蓄を後回しにせざるを得ず、61%は未だに貯蓄を始められず、32%は貯蓄を始めたが満足できるものではない」としています。

また、「将来のための貯蓄ができないだけでなく、マイホームを購入するという今後の資産形成の基礎となる部分にも関与できないことは、この世代に長期にわたるマイナス効果をもたらすだろう。そして、学生ローンを借りなかった者だけがマイホームを購入できて貯蓄ができるというシナリオは、理想的な姿ではなく、経済を脆弱にさせ、持つ者と持たざる者という不公平さを増大させる結果にもなる」と述べています。

学生ローンの支払いなど、多くの金銭的なプレッシャーを抱えるこの世代は、大学へ行くために借りたローンがどんなものなのか全体像を把握できないまま、卒業して現在を迎えているようです。授業料や経費、住宅費などの全体像を理解しているのは5人に1人しかいないことがアンケート調査で分かりました。

「学生ローンは、米国で大学へ通う学生の大半にとって現実的な問題である。そして、教育にかかるコストが、マイホームを持つというアメリカン・ドリームをこのように若者の世代を通じて妨げるような性格のものであってはならない」とASAの社長兼CEOであるジーン・エディー女史は述べ、「この調査結果は、今後の学生教育において学生の負債レベルを軽減する必要性を確認できたことや、現在返済に追われている人たちに返済可能なプランを手助けして、将来の夢を後回しにしないようにアシストすることができるだろう」としています。

学生ローンは、米国の高等教育で大きな役割を果たしています。毎年約2,000万人の学生が大学に入学し、その60%に当たる1,200万人が毎年、授業料やコストをカバーするために借入れをしています。

近年ではその額も上昇し、借入れ総額は全米で1兆3,000億ドルにも上り、米国のGDPの5%を占めるまでに至っています。これはモーゲージ、つまり住宅ローンに次ぐ大きさで、クレジットカードや自動車ローンの債務額よりも大きく、社会的な問題にも発展しています。

ここでいう学生ローンは、奨学金(Scholarships)とは全く違う性格のものです。米国の奨学金制度は、学業あるいはスポーツ、芸術において優秀な生徒や学生に対して、修学を促すことを目的にした返済義務が全くない給付奨学金です。日本では、本来は学生ローンに当たるものも、奨学金という名目や定義で低金利の貸出しをしていて紛らわしく、誤解を生じます。

<Source: NAR>