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全米での住宅取引価格は上昇の傾向

全米リアルター協会(NAR)が最近行った「リアルター・コンフィデンス・インデックスサーベイ」、これはリアルターに最近の取引に関する調査をした結果ですが、直近の2月の調査では、取引の3分の1以上の37%が、販売価格 (Listing Price) か、それ以上で成約されたとのことでした。一年前の時点では、全体の35%が販売価格以上で取引されていました。さらに遡ると、2012年から2015年までは、全体の25%がそうでした。

「購買意欲が住宅供給を上回っており、住宅価格を押し上げる要因になっている」と、NARのエコノミストのブログにも記載されています。

この調査では、全体の17%が販売価格以上で成約されており、その中の87%は販売価格の1〜10%以上で、7%は10〜20%以上で、6%は20%以上で売買されています。

現在の住宅市場をみると、今後も、バイヤーは購入のためには今以上に高額を支払わないと購入できないかもしれません。エコノミストも、「この兆候は、2018年いっぱいは続く」と推測しています。

2012年の時点では、全体の物件の34%は販売価格が150,000ドルでしたが、2018年の3月時点では、その比率は全体の22%へと減少しています。州ごとや地域での格差はあるにしても、物件価格は全体で上昇傾向にあり、当分の間はこの流れが続いていくようです。

<Source: Realtor.Mag>

4月の住宅販売戸数は、在庫数減少に比例して伸びず

全米リアルター協会(NAR)は、3月までは連続して販売戸数が伸びていたが、4月はいったん小休止したような状況であると発表しました。

既存住宅全体の販売戸数は、季節調整済みの数値で546万戸ペースと前月から2.5%減少しており、昨年同月比でも1.4%下がっています。これは2ヶ月連続して、年間販売ペースが減少していることになります。既存住宅全体とは、戸建て、コンドミニアムやコープなどを含んだ全体数です。戸建ての季節調整済みの4月の販売戸数は、3月の499万戸から3.0%減少した484万戸レベルになり、コンドミニアムの季節調整済みの販売戸数は、3月より1.6%増加した620,000ユニットとなり、昨年同月と変わりませんでした。

「販売戸数の伸び悩みの主な原因は、マイホームを購入したいという需要に応えられるだけの在庫数(Inventory:販売可能な物件数)が市場に出ていないことだ」とNARのチーフエコノミスト、Dr.ローレンス・ユン (Dr. Lawrence Yun) 氏は述べ、「金利は上昇しているが、雇用状況の促進と順調な景気の流れによりバイヤーをつなぎとめている。しかし、在庫数の少なさはここ数年でも最低値で、住宅価格の高騰が多くのバイヤーの〝購入できる範囲〟を超えてしまっている」と指摘しています。

現在の在庫数の少なさにも関わらず、物件は好調に売れています。バイヤーの強い需要と在庫数の少なさが、物件の販売スピードを加速しています。

ここで、5月のニュースリリースの個別の項目を見てみましょう。

住宅価格 (Home Price):4月の全ての既存住宅の中間値は257,900ドルと、昨年同月よりも5.3%上昇しています。4月の戸建ての中間価格は259,900ドル、コンドミニアムは242,500ドルでした。

在庫数 (Inventories):4月末時点のNARの在庫数は、3月より9.8%増加して180万戸レベルになっています。これは、1年前よりも6.3%減少しています。現在の販売ペースでは、4ヶ月分の在庫数となっています。

成約日数 (Days on the Market):4月は、物件が市場に出てから成約されるまでに26日かかっています。これは1年前の29日よりも短縮されており、ここからもマーケットが好調であることが伺われます。ユン氏は、「市場に出ている物件は、気がついたら成約されている状況で、NARがこのデータを取り始めた2011年5月以来、もっとも短い期間で売買されている。1ヶ月以内での成約は、このデータを取り始めて以来の早さだ」と述べています。

キャッシュでの取引 (All-Cash Sales):現金取引の割合は、4月は21%となり、昨年と同様です。個人の投資家が一番多く、15%を占めています。

困窮な販売物件 (Distressed Sales):これらは一般的にフォークロージャーやショートセールスに関わる物件を意味し、この4月には全体の3.5%に留まっており、NARがデータを収集し始めた2008年10月以来の最低値です。昨年と比べても、5%減少しています。

<Source: NAR>

海外からの投資家は変わっても、米国への住宅不動産 投資は年々増加

ここ数年、海外からの住宅不動産投資は、中国からの投資が金額的に一番大きいことが知られています。全米リアルター協会 (NAR) によると、その総額は、2016年4月から2017年3月までの1年間で317億ドルとなっています。しかし、2017年8月から、中国政府は個人や法人の海外への資金の持ち出しにさらなる制限を設け始めており、米国内のマーケットによっては、その影響をもろに受けている地域も出てきています。NARの統計では、香港、台湾などからの投資も、統計上は中国となっています。

米国への中国からの投資は減少傾向にありますが、そのギャップを埋めているのが新興国です。台湾、ベトナムやタイなどの東南アジア諸国、クウェート、アラブ首長国連邦などの中近東、トルコや旧ソビエト連邦などで、最近では中央アジアにあるジョージアなどがそうです。

これは米国の不動産市場が、世界で最も安定的で安全な、開かれているマーケットであることを如実に示しています。2017年の海外からの住宅不動産への投資は、全米の既存住宅市場の4.5%(米国に居住する永住権保持者を含めると約10%)を占めています。経済が安定しているだけでなく、政治的にも安心、マーケットは透明性があり、人口も毎年増加傾向にあるアメリカ。1980年代には日本からの不動産投資が最も多く、現在は中国と、トップランナーが入れ替わっても次から次へとその穴を埋めるが如く、世界中の国々が投資をしています。ちなみに、2017年の日本から米国への投資額は、全体の2%を占めるに至っています。

米国内の主要都市を見てみると、ロサンゼルスでは、ビバリーヒルズで開発されている59ユニットのフォーシーズンズ・プライベートレジデンス (Four Seasons Private Residence) プロジェクトの約70%が海外からの投資で占められており、特に、シンガポールを中心とした東南アジア諸国の比率が増えています。

今年に入って、ニューヨークでは、ロサンゼルスと同様にアジア系のバイヤーが例年よりも多く見られます。特に、マンハッタンのハイエンドの物件内覧では30〜35%が、購入に際しては全体の10〜15%がアジア系です。7〜8年前に、主にタウンハウスを購入していたロシアや東ヨーロッパ諸国のバイヤーが今は見られず、代わりに台湾や韓国からのバイヤーが見られます。

米国本土の南東部に位置するマイアミでは、中国を始めとするアジアのバイヤーの数はそれほどではありません。その大きな理由としては、中国やアジアからの直行便がないためだと地元では推測しています。マイアミは地政学上、以前からラテンアメリカやカリビアン諸国のバイヤーの影響を強く受けています。

ロサンゼルスにおける中国人バイヤーの影響力の低下が著しいだけでなく、マイアミでも南米のベネズエラやアルゼンチンからのバイヤーが、自国の経済の低迷などで資金の持ち出しが容易にできなくなり、姿を消しています。

最近の傾向としては、マイアミではコロンビア、ペルー、メキシコやチリからの投資が増えており、中南米諸国からのバイヤーが、新規のプロジェクトなどでも半分近くを購入するなど、その存在感を示しています。さらに、ヨーロッパ諸国やカナダなども新規のビーチプロジェクトへ多くの投資をしており、これらはセキュリティー(安全性)というよりも、自分たちのライフスタイルに合わせた物件購入といえます。

最近の海外からのバイヤーの動きも、一昔前から比べると変化しています。その投資先は全米に広がっているだけでなく、地域内においても、新規プロジェクトだけでなくダウンタウンや郊外などへと、多岐にわたっています。

特に、ラグジュアリー・マーケットにおける海外からの投資は、年々その比重を増しており、地政学的な面での政治の不安定さや安全面から、子供に米国での高等教育を受けさせる比率も高まっているなど、今後も米国への住宅不動産投資は増え続けていくでしょう。

<Source: MANSION GLOBAL, Realtor.Mag>

米国の全世帯総資産は最も高い92.8兆ドルに増加

米国全世帯の総資産は2016年の第4四半期には92.8兆ドルになりました。年末の株式市場と住宅価格の高騰により、第3四半期から2兆ドルの上乗せになりました。

最も大きな貢献者は株式市場で、第4四半期だけで7,280億ドル増加しているとFRB ( Federal Reserve Board: FRB-米国連邦準備制度理事会、日本の日銀に当たる) のレポート (Quarterly Financial Accounts Report) に報告されています。

昨年の第4四半期の株式市場は、米国のトランプ新政権誕生後に8%上がっており、減税や規制緩和、公共投資への投資家達の期待の高さがうかがわれます。

 添付のチャートで示すように、2007年から2009年 (18ヶ月間) のリセッションの時期に、米国はおおよそ13兆ドルの資産を失っています。2009年の第1四半期からはボトム時期(景気の底)を抜け出して右肩上がりへと回復し、現在までに全体で38兆ドルほど資産が増えて挽回しています。大きく貢献したのは、この8年間に上下運動を繰り返しながら回復してきた株式市場と、2012年以降に回復した不動産市場です。

 不動産市場も今期の資産の増加に大きく貢献しています。米国の住宅資産は5,570億ドル増加しており、全体では26.5兆ドルまで膨れ上がり、バブル期のピーク時よりも1.6兆ドルも増加しています。

 一般的には、住宅価格が上昇してエクイティ(含み益)が増えると、米国では消費へと向かう傾向、いわゆる「富裕現象 (wealth effect)」になっていましたが、現在はバブル期よりもおとなしくなっているようです。

 レポートには、米国の家庭でどのように資産が増えていったのかについての分析はありません。通常、株式市場は資金に余裕のある富裕層を中心に動き、また、大きな資産価値のある不動産は東海岸や西海岸に集中しています。ところが、全米の住宅価格の上昇は、住宅を所有する多くの家庭のエクイティの増加を示しており、それが中産階級の資産向上に寄与しているのです。

 家庭の純資産と個人収入の比率もバブル期の比率を超えており、現在の家庭の純資産は収入より6.5倍も高い最高値を示しています。この資産の上昇は直近の5年間に起きており、個人収入の増加より株式や不動産価値の上昇が大きく上回っていることから生じています。

<Source: The Wall Street Journal, March 9, 2017>

2016年上半期:誰がハワイの物件を購入しているのか?

— WHO IS BUYING HAWAII PROPERTY in 2016? —

 今年の上半期(1~6月)に、米国内外のどこからハワイへ投資をしているのかというレポートが、ハワイにおける登記事務最大手のタイトルギャランティー・ハワイ (Title Guaranty Hawaii) 社から発表されました。

 それによると、6月までのハワイへの投資は、地元ハワイ州の投資家の割合が全体の取引数8,570件の85%を占める7,285件、金額にすると約41億960万ドルで全体の約64.86%と、地元からの投資が中心となっており安定感を示しています。

 米国本土からハワイへの投資トップ3は、カリフォルニア州が745件 (8.69%)、約6億4360万ドル (10.16%) と一番大きく、次にシアトルがあり米国本土の北西に位置するワシントン州が180件 (2.10%)、約1億6770万ドル (2.65%)、テキサス州が119件(1.39%)、約8,290万ドル (1.31%) と続いています。米国では税制上、自宅を2件まで所有できることから、居住地以外にセカンドホームとして購入する習慣があります。

 海外からハワイへの投資は全体の取引額の8%台に留まり、米国本土で海外からの投資が4件に1件と最も多いフロリダ州の25%とはかけ離れています。フロリダ州は特に中南米の投資家に人気がありますが、景気の波を受けやすく、景気の良い現在でもフォークロージャー物件が最も多い州の一つで常に15%前後と、価格の上下が激しくなっています。一方ハワイは、取引の約92%がハワイ州と米国本土という構造で、景気の動向やリセッションを受けにくい状況にあります。

 海外からハワイへの投資として最も多いのが日本で、投資額全体の76%を占めています。上半期の取引数は340件、金額にすると約4億2060万ドル (1ドル=110円換算で、約462億6600万円) です。取引件数を昨年同期と比較してみると、昨年は177件でしたのでほぼ倍のペースになっています。しかし、アラモアナ&カカアコ地区のコンドミニアム・プロジェクトが竣工し、登記されたことによって急に今年の販売戸数が上昇したわけではありません。これらの販売は2年前に行われているからです。

 日本に続くのはカナダで60件、約5,260万ドルと、投資総額の13%を占めています。中国は12件、980万ドル (3%) ですが、投資額からすると香港、韓国に次いで5番目になります。残りは18の国や地域が占めています。統計からもわかるように、米国本土で起きている中国からの投資の波 (米国における住宅分野での最大の投資国は中国) は、ハワイでは起きていません。

 ハワイへの日本からの投資に関しては、取引件数はハワイ州の取引全体のわずか3.97%ですが、取引額は全体の6.64%、1件あたり平均で約123.7万ドルとなり、投資額は多いといえます。ここ数年は、ハワイが投資先として日本から改めて見直されていることもあり、増加傾向にあります。2008~2009年のリセッション時に、他の州や地域の不動産価格が大きく落ち込んだ時期でも、ハワイ、特にオアフ島は20%ちょっとの最低限の被害に留まり、その後は順調に回復してピーク時を上回る成長を続けています。

 ハワイの不動産市場の大きな特徴は、リセッションや景気の動向に左右されないことです。これは1985年以降の統計でも示されており、全米の中では一番安定して成長しているマーケットです。それは、新規プロジェクトが多いために、最初の優先販売で購入できればメリットが大きいことと、建物比率が高い地域もあり減価償却にも有利だからです。加えて、ハワイの最大のメリットは、物件を所有していればエクイティが増えるのです。いわゆる、“キャピタルゲイン”に最適なマーケットということです。

<Source: Title Guaranty Hawaii>