マイホームのリノベーションのトレンドと、最も高い費用対効果は?

米国では様々な家庭でリモデリング (Remodeling, Renovation) が常に行われており、その効果が毎年レポート (Cost vs. Value Report) として雑誌にも掲載されています。ここでいう「家庭」とはマイホーム、アメリカンドリームでもあり住宅産業の基盤となる戸建て住宅の所有のことです。

全米の99地区の中で、29のプロジェクトが最も費用対効果 (ROI:Return of Investment, 投資利益率ともいう) が高く、平均で再販時に投資額の64.3%を回収しています。特にレポートでは、この6年間で24のプロジェクトをフォローしており、その投資利益率も64.3%でした。

2016年との対比では利益率は0.1%しか上昇していませんが、この間のコストは平均的に3%上昇している事実があります。2017年の平均的なコスト (Cost:JC = Job Cost) は46,400ドルで、再販価値 (Value:RV = Resale Value) は29,800ドルとなっています。2016年は43,300ドルに対して27,800ドル、利益率は64.2%でした。

一般的にはマーケット、つまり市場がヒートアップするほど、リノベーションなどに投資した分のペイバック(Payback:見返り) は大きいものです。既存住宅の中間価格の最も高いサンノゼ (San Jose)やサンフランシスコ (San Francisco) 、ハワイのホノルル (Honolulu) は、多くのケースで投資利益率が100%を超えていますが、ラストベルト (Rust Belt:主に米国中西部諸州の五大湖沿岸地域と大西洋岸のニューヨークやニュージャージー、ペンシルバニア、ウエストバージニア州などを含む) と呼ばれる1980年代に鉄鋼や石炭産業で潤った地域は、これらの全地域を見渡しても投資利益率が100%を超えるものは数えるだけしかありません。99地区の1/3 に当たる地域は、利益率が100%を超えるものが1つもありません。

地域的に見ると、それがさらに鮮明になってきます。全米の中でもハワイやカリフォルニアを含む太平洋側のパシフィック地区 (Pacific Division:California, Oregon, Washington, Alaska and Hawaii) は、平均的なコストが52,500ドルで再販価値は41,100ドル、そしてROIは78.2%と最も高いのです。逆に最も低い地区は、東北中央地区 (East North Central Division) で前述のラストベルトと被っており、地域としてはオハイオやインディアナ、ミシガン、イリノイ、ウィスコンシンなどの州にまたがっています。投資額は47,700ドル、回収額は26,200ドル、そしてROIは54.9%に留まっています。

これらの24のプロジェクトの過去10年の平均を見ると、ROIは58%から66%の間に収まっています。リモデリングコストは2010年を境に減少してきましたが、この4年は上昇傾向にあります。一方、見返りの再販価値は2010年以降減少傾向にありましたが、この2年は少しずつ上昇しています。

戸建て住宅のリモデリングの最近のトレンドとして、特に新しいものが出てきたわけではなく、従来から継続されているものがほとんどです。その中でも、英語でカーブアピール・プロジェクト (Curb Appeal Projects) と呼ばれる内装より、先ずは見た目ということで外から見て分かるドア、窓、物置などが注目を集めています。

一般的な地域でのリモデリング・プロジェクト(Midrange Cost Category) でROIの高いトップ5

  1. 屋根裏部屋の断熱材の設置 (Attic Insulation – fiberglass):一般には物置として利用されている場所にグラスファイバー (Fiberglass) を使用して保温。JC 1,343ドルvs. RV 1,446ドル = ROI 107.7%
  2. 入口のドアの付け替え (Entry Door Replacement – steel):鉄の鋼材 (New 20-Gauge Steel Unit) を使用したものに変更。JC 1,413ドルvs. RV 1,282ドル = ROI 90.7%
  3. ストーンベニア (Manufactured Stone Veneer: 極薄天然石シート) への貼り替え:施工性が高く、内装や外装の壁や床の用途として利用。JC 7,851ドルvs. RV 7,019ドル = ROI 89.4%

  4. 小規模なキッチンのリモデル (Minor Kitchen Remodel):キッチンキャビネットの貼り替えや金具の付け替え、オーブンやレンジの取り替え、冷蔵庫を省エネモデルに買い替え、キッチンのカウンタートップの貼り替え、蛇口やシンクの取り替えおよび壁紙やフローリングの変更など。JC 20,830ドルvs. RV 16,699ドル = ROI 80.2%
  5. ガレージドアの付け替え (Garage Door Replacement):古いガレージドアを取り外して、新しい10年保証のものに付け替え。JC 1,749ドルvs. RV 1,345ドル = ROI 76.9%

高級住宅地でのリモデリング・プロジェクト (Upscale Cost Category) でROIの高いトップ5

  1. ガレージドアの付け替え (Garage Door Replacement):JC 3,304ドルvs. RV 2,810ドル = ROI 85.0%
  2. 入口のドアの付け替え (Entry Door Replacement – fiberglass):重厚感が増すようにグラスファイバーを使ったドアに、その両側に灯が入る窓枠のあるサイド (Entrance Door with Dual Sidelights) に付け替え。 JC 3,276ドルvs. RV 2,550ドル = ROI 77.8%
  3. 窓の付け替え (Window Replacement):木 (Wood) を使った窓枠などに変更。JC 18,759ドルvs. RV 13,691ドル = ROI 73.0%
  4. 大幅なキッチンリモデル (Major Kitchen Remodel):キッチンのキャビネットはビルトイン形式にして、そこに電子レンジ、オーブン、冷蔵庫など全てが収納可能なものに変更。シンクもハイエンドなモデルに付け替えて、蛇口はデザイナーもので水の濾過装置が付いているものと取り替え。カウンタートップは高級感を出すために御影石 (Granite) などに付け替え。JC 122,991ドルvs. RV 76,149ドル = ROI 61.9%
  5. 主寝室の追加 (Master Suite Addition):様々なことを追加できますが、ベッドルームには寝室だけでなく、ソファーなどを加えてシッティングルーム (Sitting Room) を足すこと。暖炉や本棚を壁に備え付けるビルトインとして追加などがあります。バスルームは、シャワー室の拡張と設備の充実。ここにスティームシャワーなどサウナ系を足すこともよくあります。バスタブはジャクージ付きのものに変えたり、浴室の洗面所のシンクをそれぞれが使えるように2つに増やすこともあります。あるいは、寝室にミニバーを設置するなど機能を充実させます。JC 250,687ドルvs. RV 150,140ドル = ROI 59.9%

ホノルルでのリノベーションあるいはリモデリングで、2017年のレポートで特にROIの高かった項目

  1. 屋根裏部屋の断熱材の設置 (Attic Insulation):JC 1,422ドルvs. RV 2,490ドル = ROI 175.2%
  2. ガレージドアの付け替え (Garage Door Replacement):JC 2,028ドルvs. RV 2,972ドル = ROI 146.6%
  3. 入口のドアの付け替え (Entry Door Replacement – steel):JC 1,521ドルvs. RV 2,125ドル = ROI 139.7%
  4. 屋根の貼り替え (Roofing Replacement):JC 24,487ドルvs. RV 28,125ドル = ROI 114.9%
  5. 木造家屋外壁の下見張りの貼り替え (Siding Replacement):JC 17,386ドルvs. RV 19,563ドル = ROI 112.5%
  6. 緊急時自家発電装置 (Backup Power Generator):JC 14,011ドルvs. RV 15,714ドル = ROI 112.2%
  7. 入口のドアの付け替え (Entry Door Replacement – fiberglass):JC 3,424ドルvs. RV 3,389ドル = ROI 99.0%
  8. 小規模なキッチンのリモデル (Minor Kitchen Remodel):JC 24,073ドルvs. RV 23,000ドル = ROI 95.5%
  9. ラナイ (Deck Addition – wood):JC 14,098ドルvs. RV 13,286ドル = ROI 94.2%
  10. 大幅なキッチンリモデル (Major Kitchen Remodel):JC 70,971ドルvs. RV 61,875ドル = ROI 87.2%

前述のように、地区の中ではパシフィック地区が投資利益率が最も高いのですが、その中でもハワイ州はROIが最も高くなっています。特にホノルルは、既存住宅の中間価格が全米でも3〜4番目に高く、開発可能な土地が限られていることからも、戸建てだけでなくコンドミニアムもリモデル済みの物件が重宝されており、それらが価格に直接反映される形になっています。これは、ホノルルのマーケットが成熟してきている証拠でもあり、カリフォルニアの高級住宅地、北のサンフランシスコやパロアルト、南のビバリーヒルズ、ロサンゼルスのブレンドウッドやベルエアーなどの仲間入りをしたことになります。

<Source: REALTOR,org>